tender dragon Ⅰ


「あ、やっぱりここからは聞かないでおきます。俺アドバイスとか下手だから(笑)」

へらっと笑った春斗。

あたしの気持ちを察してこんなことを言っているんだ。


「あはは、何それ(笑)」

「笑わないでくださいよー」


―ガチャ…


ドアを開けると、外とは違う暖かい空気が顔を撫でた。暖かいなんて表現じゃなくて”暑い”だ。


「うわっ、あっつ…」

春斗も同じことを思ったみたいで、あたしの心の中の言葉をそのまま口に出した。


「おかえり。何で春斗がいんだよ?」


思った通り、家の中には葉太しかいないみたい。リビングからは葉太の声しかしなかった。