聞けば良かったかな。

どこから見たのって。


希龍くんは安田さんの部屋に入っていって、あたしも希龍くんの部屋に入った。

甘い匂いがする。

いつも希龍くんからする匂い。香水なのかな。

ここにいると、不思議と落ち着く。


あたしの部屋と変わらない大きさの希龍くんの部屋には、真っ白なシングルベッドがあって、その他にはほとんど物がなかった。

寝るためだけにあるような。

葉太の部屋も、安田さんの部屋も、同じような感じなのかな。


「あ、これだ……」


ベッドの他にあった棚の上に、1つだけポツンと香水のビンが置かれていた。

少し近寄ると、いつもの希龍くんの香りが鼻をつく。葉太の匂いとも、安田さんの匂いとも違う、甘い匂い。


やっぱり、誤解は解いておくべきだ。

何となく、そう思った。