「美波も、もう寝たら?」

葉太を部屋まで連れていくと、欠伸をしながら出てきてあたしを見ずにそう言った。


「あの…」

「いつまでも起きてたら、風邪引くよ。」


怒っているみたいだった。

でも、怒ってる理由に心当たりはない。

あたしの気のせいか?


怒っててもあまり顔に出ないから、もしかしたら気のせいかもしれない。でも、少し期待してしまった。

葉太があたしにキスしたのを見て怒ったんじゃないか、なんて。有り得ないけど。


「希龍くんは寝ないの?」

「俺ももう寝るよ。」


やっぱり目を合わせてくれない。

そんな小さな変化ですら気になってしまうんだから、結構重症だ。


「そっか。じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみ。」