「学校、どうだった?」

「んー……芽衣と話してるときは楽しいけど、それ以外は普通だよ。あたしはいてもいなくても変わらないみたいだし」

「何それ。美波の友達って、そんなやつらしかいねぇの?」


友達、か…

加菜たちのことを”友達”と呼べるのか自分でも分からない。

あたしがいてもいなくても変わらないのは、ずっと前から気づいてた。


気づいてたけど、それが楽でいいと思ってた。

そうすればイラつかれることも、喧嘩することもなく、平和に学校生活を送れるから。


「美波?」

「あ…ごめん。友達っていうか、ただ一緒にいるだけだから。」


葉太の髪についてた滴が、ポタポタと滴り落ちる。

髪が濡れた葉太は、いつもと雰囲気が違って変な感じがした。


「ふーん。ほんとの友達はいないってか。」

「やっぱりいないのかなー…。」