「明日は安田さんの家に迎えに行きますね」

「あ、うん。そうだね」


あたしが喋らないのを見た春斗は、さっきまでの話をなかったことにしたみたいに、明るく話しかけてきた。

あたしより少し高い位置にある顔があたしを見て、ニコッと笑う。


「希龍さんに上着借りといて良かったっすね。今日すっげぇ寒くないっすか?」

「ほんとだよね。今日いつもより寒いかも。春斗はそれで寒くないの?」

「俺は希龍さんと違って寒さに強いですから。これで十分ですよ」


とてもじゃないけど、年下とは思えない。

大人っぽいと言うか、気が遣えるというか…


春斗が大人に見えた1日だった。