おいおい、大丈夫かよ。
なんて思っていたけど、度肝を抜かれた。
身軽な体はナンパ男のパンチを軽々と避けて、腹に蹴りを入れる。
「うっ…」
それはほんとに一瞬の出来事で、心臓が止まるかと思った。
あの金髪の彼は蹴り一発でナンパ男を倒してしまった。
「うそ…」
……すっごい強いんだけど…
うずくまって唸っているナンパ男を蹴飛ばすと、こっちに歩いてくる。
ナンパ男を倒してくれたことには感謝しているけど、もしかしたら同じ類の人間かもしれない。まだ油断はできない。
「大丈夫?」
近づいてくる金髪の男の人の顔が、ホテルの光でだんだんと照らされていく。
ふんわり笑うその顔は、ナンパ男なんかよりも遥かに整っていて、綺麗だった。



