「あぁ、お前……狂羅?」


狂羅?

金色の龍とか狂羅とか、聞いたことない単語がたくさん出てきて、もうあたしにはさっぱり分からない。


「ふは、欲求不満?」


バカにするようなその口調は、ナンパ男の闘争心に火をつけたらしい。

急に走り出したナンパ男は、金髪の男の人に殴りかかる。


「あ!」


危ない、と言おうとしたんだけど、言葉にならなかった。

人って本当に焦ったときは何も言葉が出ないんだなぁ。


金髪の男の人も、ナンパ男も、何者なのかあたしには分からないからどうなるか分からない。


「腹へったなぁ…」


そんな風に呟く金髪の男の人の前には、すでにバカ男がいて、拳を振り上げていた。