初対面なのに、そんなの感じさせない雰囲気を持っていて。
ほんとは、眼鏡をかけたり、スカートを長くしたりするような子じゃないんじゃないのかな。
やっぱり、理由があるんだよね。
「んー…気持ちいい」
ついた先は屋上へ続く非常階段。
屋上へ行くと、外で体育をしている人たちに見えちゃうから入れなかったけど、この場所だって日が当たって気持ちいい。
ここには先生も来ないから、安全だ。
「よく来るの?」
「うん、1人になりたいときに」
屋上へ行くにも、みんなこっちの非常階段は使わないから人なんて滅多に来ない。
だからあたしも知らなかった。
「そういえば、名前は?」
「美波。川原美波だよ」
名前を言った瞬間、彼女は振り向いて表情を明るくした。
近づいてきてあたしの手をギュウッと握る。



