tender dragon Ⅰ


初対面なのに、そんなの感じさせない雰囲気を持っていて。

ほんとは、眼鏡をかけたり、スカートを長くしたりするような子じゃないんじゃないのかな。


やっぱり、理由があるんだよね。


「んー…気持ちいい」


ついた先は屋上へ続く非常階段。

屋上へ行くと、外で体育をしている人たちに見えちゃうから入れなかったけど、この場所だって日が当たって気持ちいい。

ここには先生も来ないから、安全だ。


「よく来るの?」

「うん、1人になりたいときに」


屋上へ行くにも、みんなこっちの非常階段は使わないから人なんて滅多に来ない。

だからあたしも知らなかった。


「そういえば、名前は?」

「美波。川原美波だよ」


名前を言った瞬間、彼女は振り向いて表情を明るくした。

近づいてきてあたしの手をギュウッと握る。