「はぁぁ…」

十が大きなため息をつく。

「どうした?」

「あの子、大変そうだな。」

「そうだな…。でも、あのウザったらしい女達よりかはまだマシだよ。」

「ひかり、彼女は?」

十が深刻そうな顔でオレに聞いた。

「はぁ?彼女?ああ、愛華のことか。」

「そう。」

「あいつとは、もう別れた。」

ほぼ毎日告白されるオレは、めちゃくちゃ押してきた女とだけ付き合うことにしている。でも、それはそれでめんどくせー。最近は、『ひかり様は押しまくったら付き合ってくれる』っていう噂が流れてるから、オレはもう告白してくる女全員と付き合っている。

「早いな…、もうやめたらどう?こんなこと。」

「は?オレをこんな奴にさせたのはどこのどいつだよ。」

「ひかり…」

そうだ。まだ、オレ達が中3の時だった。

『十…。私、十のことが好きなの。付き合ってくれない?』

オレは十のことが好きで、その日告白したんだ。

その当時、十はヤンキーでオレは地味な女だった。

『ごめん…。オレ、好きな女、いるから。』

『そ、そっか!ごめんね?やっぱり、十、ち、千秋のこと好きなんでしょ?』

千秋は、明るくて可愛いギャルだった。オレを嫌っていて、オレが十のこと好きだったから、十にまとわりついていた。

『ああ…。今日、告白しようと思う。』

『がんばって…』

オレはそう言って、その場から逃げたんだ。

その後、十と千秋が付き合いだしたことは、言うまでもない。

「ひかり…。」

「もう鳴るぞ。行こうぜ。」

「ああ…」