月と、君と、恋唄と。


「~っ離してっ!」


バッと私を救ってくれた腕を振り払い、睨むように彼を見た。


彼は無表情で私を見ている。


「な…なによ」


何も言わずにただジリジリと距離を詰めてくる。

夕暮れの路地、周りは誰もいない。

あっという間に私の顔の脇に両腕をついて、私が逃げないようにしている。私は思わず下を向く。


「ルナ」


いつもより少し低い…だけどどこか甘い声に私は顔を上げた。


チュッ...