突然、横からにゅっと田中くんの手が伸びてきて、ホワイトチョコの残りのかけらを掴んで口の中に放り込んだ。

「うまい」

そう言って田中くんは次のチョコレートに手を伸ばした。


「マジでうまい。とても水で麺をゆでる女の子が作ったモノとは思えない」

田中くんが私を見てにやりと笑った。

何だ、やっぱり起きてたんだ。


「……これ、山本くんに作ったやつなんだけど、いいの?」

「そんなの、俺が全部食ってなくならせてやる」


田中くんはむくりと上半身を起こし、手のひらを突き出してきた。


私は「ありがとう」と言って、比較的まともな形を保っているミルクチョコレートを田中くんの手のひらにそっと置いた。