「てゆーかさ、そこで、何で俺が中川の視線の先を気にしてるのか、ってことは考えないんだ?」

「……え?」

私の反応に、田中くんは再び大きなため息をついた。


「俺、マジで相手にされてないのがよーく分かった。俺は山本みたく背ぇ高くないし、爽やかサッカー少年でもないけど。

結構頑張ってたのになぁ。あーぁ、俺かわいそ……」

田中くんは私に背を向けて芝生に転がると、ミノムシみたいにまるまった。


そこまで言われて、ようやく私は彼のため息の理由を理解した。

私が山本くんを見ていたように、田中くんは私のことを見ていたのだ。


思いがけない田中くんからの告白に、私は自分の顔がかーっと熱くなるのがわかった。