もと来た反対側の道を通り抜け、堤防沿いの遊歩道に出たところで立ち止まった。

痛くなった脇腹を押さえて呼吸を整えた。

汗が頬を伝って落ちていく。


私は一体何をしているんだろう――…。


突然、後ろから強い力で腕を掴まれ、驚いて振り返ると田中くんが立っていて、

「俺、何か中川を怒らせるようなことしたみたいだから、謝らなきゃと思って……」

と、肩を上下させながら言った。


田中くんはギターケースを背負い、私の腕を掴んでいる反対側の手には、私が投げつけた紙袋を持っていた。


紙袋はすっかりくたびれて、ところどころ土で汚れていた。