風が吹いている、この状態の事をなんと呼ぼうか。

嗚呼でも、それは状態であってそれだけの、一連の流れに過ぎないから名前を付ける程のものでもないと私は思い直す。


最後だ。
これで最後だ。


良く辺りを見回せば、丁度昨日本屋で立ち読みした女性写真家の、あの色味の強い、鮮明で生き生きとした花の描き方と似た、現実の花が咲いている。
鉄の格子に絡む紅色は、美しかったし、それに下品だった。



私は風の動きに身を任せたいと思った。




「見えているものの全てを、信じる必要はない。」



忘れていたはずの初恋の人の言葉を思い出す。