秘密の時間



二ヶ所ある自販機のうち、なるたけ空いてる方へ足を急ぐ。



今の時間、お昼休みに入るからどうしても食堂の前の自販機は込み合ってしまう。



具合悪そうな彼。

いや、悪そう。ではなく悪いのかも!?



とりあえずスポーツドリンクとお水を買い、フロアへ急いだ。



だって、きっと部長もお昼食べないで仕事でしょ?



それって身体に益々負担かけちゃうんじゃあない?



急いでフロアに戻るとまだ数人の社員が残って仕事をしている。



そんな中堂々と部長に飲み物なんて渡せない。




今さら気付いたけど、どうやって渡すつもりだったの?



考え無しに行動を起こしてしまった自分が少し痛いヤツに思えた。




そう、結局私達の関係は秘密。



私達は好き同士でも、まわりの反応は…、考えただけでも怖い。



モテモテの部長としがない新入社員。



ましてや部長はみんな『妻子持ち』と誤解している。



それに、こんな彼女ヅラしてもいいの?




自席に戻りため息を吐いた。



部長は少し辛そうにこめかみを押さえながら仕事をしている。




私は自販機で買って来た物をそっと机の下に隠した。