コーヒーを一気に飲み干してため息を零した葉子ちゃんはまた黙り込んだ。
私の今までの恋愛の中で最も難しい案件だ。
「同期の奴らじゃあ噂話位しか知らないだろうし、だからって小山課長あたりとはそこまで仲良くないし…」
「……」
えっ、小山課長?
そういえば、小山課長から名刺を頂いたのを思い出した。
確かに名刺の裏には携帯番号が…。
「あのー、葉子ちゃんこれ…」
私は鞄の中から今日頂いた小山課長の名刺を取出し、テーブルの上に置いた。
それを見て葉子ちゃんは目を丸くして驚いている。
「ど…どうしたの?これ…。
小山課長の名刺!」
かなりびっくりしてるのか声が大きい。
葉子ちゃんはそんなの自分の声にも驚いているみたいで、もう収拾が出来ない。
葉子ちゃんでもそんな事あるんだ。なんて冷静な自分がなんとなくおかしかった。
「てーか、美優って小悪魔な訳?」
こ…小悪魔、って…。


