秘密の時間



考えはまとまるどころか、ますます頭の中を混乱させて、本当にどうしたいか分からない。


俯いてもじもじとして、ただあの日の帰り道の寂しい背中を思って…、そこで分かるのは私の『好き』と言う気持ちだけで…。


やっぱり上手くは葉子ちゃんに話せない。


「とりあえず、飲んで落ち着こうか」


目の前の手付かずのカップ。


それにそっと口をつける。

冷めかけたミルクティーは、ただ冷たいだけで美味しいとは感じられない。



そして、ミルクティーを頼んだ事に後悔した。



こんな所にも部長との思い出があった。



あの日、コンビニで自ら私の為にカゴに入れてくれたミルクティー。


その優しさすら、あの時感じた物と違うんだ。なんて考えるとますます切なくなった。



「美優、大丈夫?」

「う…うん」



本当は全然大丈夫じゃあ無いけど、葉子ちゃんにこれ以上心配して貰うのは心苦しくて、私はそう口にしていた。