秘密の時間



「だから、その…、本気かも…」


主語抜きの台詞に?を浮かべる葉子ちゃんだけど、今日は喋らない。


私に全てを喋らすのだろう。


「ほら、この前話したでしょ。…部長の事。

あの時は不倫はいけないし、部長が幸せに毎日暮らせればそれでいいって思ってたの。

でも、でもね。気付いちゃったの。

私も部長の隣で幸せになりたい。って…」

「ふーん。で、なんで泣いてたの?」

「あれは…、部長は私だけじゃなくみんな平等に接してるんだな。なんて思って…。

私、少しだけ特別なんじゃあないか。なんて思ってだけど、違って、

なのに、どうしても部長の事が好きで…」



よしよしと葉子ちゃんの手が頭を撫でる。


その優しさにまた止まった筈の涙が溢れ出す。



「最後の方、支離滅裂だったけど…。

要は大橋部長を好きになっちゃった。訳だね」

「う…うん」

「で、美優は?美優はどうしたいの?」



どうしたいの、かな?