秘密の時間



「どうした中村。元気ないぞ。さぁ、あと少しだ。仕事頑張れ」


部長の前で恥ずかしながら色々と思いを巡らしてた私は部長の声にはっとした。


「す、すいません。失礼します」



そう言って頭を下げ、自分のデスクに戻った。


だけど、次に部長に呼ばれて同期の佐倉ちゃんの後ろ姿を見ると、なぜか涙が溢れそうになった。



どうしよう!
仕事中なのに…。


あと10分位で鳴るはずの終業のベル。

ひたすらそれまで我慢して、ベルと同時にフロアを飛び出した。




そんな私の姿を、見つめてた人物がいたなんて知らなかった。



その人物は私のその後ろ姿を見て、本当に辛い表情をしていた。



どうしてか彼は彼女のその背中を追いたかったが出来なくて…。



彼がまた一つ彼女の事を思う気持ちになった。