秘密の時間



き、気分なんか悪くないよ!


そう思ったけど、言えなかった。



掴まれた腕をくぃっと引っ張られ、その力強さに私はよろめいてしまう。



そして、恩田さんに助けられた。そんな図が出来上がっていたから…。



「中村さん、大丈夫?」


「だ…大丈夫、です」



近くに居た他の社員の方にも心配されてしまう始末。


「行こうか…」



バタバタとみんなが出て行った後の大広間に最終的、私と恩田さんふたりきりになってしまった。



「あのー、恩田さんは二次会…行かないんですか?」


「行かないよ。
だって美優ちゃんと一緒に居たいから…」


「……」



真剣な眼差しで私を見つめる恩田さん。


酔ってるのかな?
なんてまじまじ眺めても、そんな雰囲気は感じない。


それよりも私の方が酔っ払ってる。



どうしよ?



逸らせない視線に不安を感じながら、見つめ合う事しか出来なかった。