さっき声を掛けてきた男性社員に、瓶のビールと日本酒の入った瓶を受け取り、奥の人から注いでいく。
「おお、中村さん、さすが気が利くね!」
先輩おじいちゃんも来ていてお酌をしたら褒められた。
お偉方がたは挨拶が済むとさっさと帰ったらしく、いつものフロアの面々ばかりだ。
「中村、お酒足りなかったらここにあるから」
「はぁーい」
どうやらお酌係になったみたいだ。
時間が経つに釣れみんな自由に移動し、勝手に盛り上がっている。
私もお酌しながらお酒を勧められ断る事も出来ず呑まされたので、かなり酔っている。
頬が火照ってぽっぽしている。
「ねぇ、中村さん、こっちで飲まない?」
そんな時、久しぶりに恩田さんから声を掛けられた。
彼の台詞に従う様に近づくと私の為に席を一つ分確保する。
「座って。少し話そうよ」
「……」


