秘密の時間



テーブルから身を乗り出し、私の耳元で他人には聞こえない様に小さな声で囁いた。


「えっ、嘘…」

「だから、噂だって。単なる噂。あんまり真に受けないでね!」

「……」



真に受けないでね! か。

でも、ぼんやりと考えてしまう。


あの、部長が…ね。


確かに、真に受けちゃあいけない話だ。


だって事実でも、そうじゃあなくても悲しいから…。


「ねぇ、美優が落ち込むこと、ないんじゃあない?」

「えっ…」

いつの間にか定食を綺麗に完食していた葉子ちゃんは私の事をじっと見ていた。


「だ、だって真実だったら悲しいじゃん」

「えー、普通逆じゃあない?だって…チャンスじゃん。こう…弱ってる所に付け込むのって」

「……」



私はその時『部長が幸せならそれが一番!!』って思った。


だからこの気持ちは、単なる憧れで、恋心じゃあないって。


そうこの時は思った。