うんん、と首を振ると、巧さんの手が私の頭の上に舞い降りる。
巧さんは私の頭を撫でながら、私の顔を覗き込んだ。
そして、片方の唇の端を上げいたずらっ子みたいな表情を浮かべながら、
「新しい部屋で、たくさんの思い出を作っていこな」
そう言いながら私の顔をギュッと抱き締めた。
◇◇◇
部屋の中もだいぶ片付いて、そろそろ一休みしようかな?なんて。
巧さんにも「一休みしましょう」と声を掛け様と振り返ると、巧さんは何かをじっくり眺めていた。
巧さんには無難に本棚を整理して貰っていたが、巧さんは一体、何を必死に見てるのかな?
そろり、巧さんに気付かれない様にそっと近付いて、彼の背後に回る。
「た、巧さん」
声を潜めて彼を呼ぶと、彼はピクリと肩を揺らし、けどそれでも視線は真下に注がれたまま。
「巧さん、何見てるんですか?」
「ん?美優のアルバム」
巧さんは真下を向いたままそう答えた。
え?そんな所にアルバムなんて置いといたっけ?


