「一緒に住まないか」
そう巧さんに告げられた時、私はてっきり今まで巧さんが住んでいたあの部屋で一緒に暮らすのかと思った。
が、あの一件で巧さんは新たに住む部屋を探そう。と言ってくれた。
私的には嬉しいが、何となく複雑な気持ちが胸の中に広がった。
なんだか我が儘を言ってしまったみたいで、何とも居たたまれなかった。
でも、巧さんはそんな私の気持ちに気付いたのか、
「遠慮しなくていいんだよ。美優。
俺は美優から初めてを一杯貰ったけど、俺の初めては美優にあげられないから。
だから住む所ぐらい美優の為に選びたいんだ」
はっきりとそう言い切った巧さんは、私の手をギュッと握り締めた。
そこから伝わる巧さんの熱に、私は彼の内に秘めた気持ちを少しだけ垣間見た気がした。
「本当にいいんですか?
わ、私は、今住んでる巧さんのお部屋でも全然大丈夫なんですけど」
「美優、しつこいぞ!!
俺も美優と新たな一歩を踏み出したいんだ。だからあの部屋からでなく、新しい部屋で美優と始めたいんだ。
それでも、美優はあの部屋に拘るのか?」


