心配そうに私の顔を覗き込む巧さんに、私はもっとギュッと彼にしがみついた。
すると少し困った顔をしながらも 、彼もまた少しだけ私を抱き締める腕に力を込めた。
「私の事、嫌いになりませんか?こんな話しても……」
「ん?どんな話かな?
大丈夫。どんな美優でも嫌いにはならないから。どんな美優でも俺の物だよ」
互いに表情は見えないが、ただドクントクンと脈打つ鼓動の音は二人とも高鳴っている。
彼の言葉を信じて、言ってみようかな?
変な誤解とかされないかな?
不安は考えれば切りがないけど、それはきっとそれだけ巧さんの事を大切に思うから、だから考えてしまうのかもしれない。
「あのね、巧さん」
「うん」
「この部屋に一人で居るのが嫌だったの。私の知らない巧さんと巧さんの奥さんが暮らしてた部屋なんて。
考えたくはないけど、想像しちゃうの。巧さんが……その……奥さんとどんな生活してたのかな?なんて。どんな風に愛し合ってたか、とか……」
「………」


