秘密の時間




その瞳は妖艶な光を湛え、私はドキリと大きく鼓動を高鳴らせた。



こんな彼、初めて見た。


いや、いつも見てるけどそれはこんなシチュエーションじゃない。



ベッドの上で私達が愛し合ってる時だ。



私が巧さんを見詰めている事にも気づかず、彼は愛しそうに私の左手の薬指に触れる。



何ともこそばゆい気持ちになりながら、私はもう一度目を閉じた。



もしかしたら私はとんだ勘違いをしていたのかもしれない。



巧さんのあの眼差しは私への気持ちが溢れている。



なのにどうして私は勘違いをなんてしてしまったんだろ?



雰囲気に流されてしまったのだろうか?それとも……。



色々考えている内に、私はいつの間にか寝てしまったらしい。



目覚めると私の手をギュッと握ったまま眠り込んでしまった、巧さんの姿が目に入ったから。



「た、巧さん。巧さん」



ベッドから起き上がり巧さんの身体を揺さぶる。



こんな格好で寝ていたら風邪を引いてしまう。



そうでなくても、私の風邪が移りでもしたら大変なのに。



名前を呼びながら身体を揺さぶっていると、ん?なんて寝起きの彼の少し掠れた声が聞こえた。