巧さんの台詞に、私の頬はかーっと赤くなる。
さらっと言っちゃってるけど、かなり大人な発言だよね。
その台詞と共に巧さんは私に覆い被さる様に私の肩の上に手を置く。
真上からじっくりと見詰められ、いつもよりも大胆な巧さんの行動に私はただただ驚いた。
「美優。俺は全然大人じゃあないんだよ。
美優の事になると、平常心じゃあ居られなくなるし、独占欲もかなりあると思う。会社で他の男と話してる姿見るだけで苛々するし、今日だってマスターと話してるの外からチラッと見えただけで、かなり嫉妬した」
「………」
意外だな。なんて思った。
そんな風に巧さんが私の事を思ってたなんて、全然気付かなかった。
いつも大人な振る舞いの巧さんに、私ばかりがやきもきしてるのだと思ってた。
妖艶な瞳を湛えた巧さん。
その表情はどこか苦しそうで、何かに追い詰められ切羽詰まったような、複雑な顔をしている。
私はそんな彼に手を差し伸べたくて、そっと彼の頬に手を伸ばした。
「美優、駄目だよ」


