秘密の時間





ふっと目覚めると安らぎを感じる大好きな彼の匂いと温かさが私を包み込んでいる。



私、いつの間にか寝てたんだ。



彼の胸にそっと寄り添う様に近付いてもう一度目を閉じる。



こんな風にずっと一緒に要られたら幸せだな。なんて今更ながら思った。



まだ朝にはなりきらない時間。



もう一眠りして目が覚めたらちゃんと伝えようと思う。



私の気持ちも不安も。



もしかしたら、案外彼の不安を取り除くのは簡単な事かもしれない。



ちゃんと飾らない私自身を彼に晒せれば、それで済むことなのかもしれない。



マスターの言っていた事も、もしかしたらこう言う事なのかもしれないし。



でも、なんて伝えたらいいんだろ?



気持ちを伝えるって思ったより難しい。



ちゃんと彼に伝わって欲しいから。



考えに考えて、でも上手い台詞が見付からなくて、気がつけばいつの間にか空が白みはじめていた。