熱いって……?
あっそうか。身体が怠いのは熱のせいなんだ。なんてぼんやり思った。
調子が悪いから身体がふわふわしたりしたんだ。
そんな事考えてるうちに、巧さんの手はいつの間にか私の額から滑り落ち頬へつたい唇にたどり着く。
「ごめんな、美優。
あんな寒い所連れてったから、風邪を引かしてしまったかな?
休もうか。ベッドへ行こう。
立てるか?大丈夫か??」
巧さんの手がすっと私から離れていく。
それが妙に切なくて目が潤む。
泣きたい訳じゃあないのにどうしてだろ?
結局立ち上がる事もままならない私は巧さんにお姫さま抱っこをしてもらい、寝室まで連れていかれた。
ーー結局私って、巧さんに迷惑ばかり掛けてるのかな?
そう思えてしまうから涙か溢れ出しそうになる。
「美優、そんなに辛いのか?病院いくか?」
ベッドの上にそっと私を下ろすと、彼は私を真正面から覗き込む。
そして、巧さんは私の目の潤みを熱のせいだと勘違いしている。
……違うのに。
その私を思っての優しさすら、今の私にはちょっと切ない。


