秘密の時間




どんなに考えても、すぐすぐには答えは出ない。



でないけど、何をどうしたら巧さんに私の素直な気持ちが伝わるんだろ?





カップの中を空にした私達はその後マスターにお礼を言って喫茶店を出た。



それから巧さんの車に乗り込み、私達は家路についた。



「美優、辛くないか?大丈夫か?」



車に乗り込む時、なぜか巧さんがそう言いながら私の顔を覗き込む。



私は何が辛くて大丈夫なのか、言っている質問の意味が分からなくて、ただ巧さんを見詰めてしまった。



それから程なくして車は走り出し、その間、私達は無言のままカーラジオだけが静かな車内に響いていた。



そして、その日も巧さんの部屋に泊まる為私は彼のマンションへ。



駐車場に辿り着き車から降りる彼とは逆に私はなかなか車の中から出られかった。



彼の迷惑にはなりたくないから、早くここから降りなくてはならないのに、なんだか足がすくんでしまう。



そんな私の様子に素早く気付いた巧さんは、私の座る助手席の方に回り込みドアを開け、私に声を掛ける。



「美優、どうかしたのか?」