秘密の時間



それなのになぜ結婚しかたと言えば……、


俺が欲に負けたんだ。



結局その食事がきっかけで、俺と咲季はいつの間にか付き合う様になって、いつの間にやら結婚の話まで出始めたんだ。


勿論、俺は結婚なんてするつもりはなかった。


付き合いだしたと言っても、俺はまだまだ駆け出しのサラリーマンだし、正直、結婚なんてまだ考えられなかったから。


それに、俺はそこまで彼女の事を思って居なかったし、どちらかと言えば仕事の延長線上の付き合いみたいな感じだったから、


だからその話が出た時は、はっきり断ったんだ。


そしたら、常務が『結婚すればお前も出世出来る』って。


別に出世したい訳じゃあなかったけど、でも、俺個人としては限界があるのを知っていたから、


今の地位だって、咲季と一緒になったから得られたものだと思う。


でも、結婚もどちらかと言えば嫌々した訳でもないんだ。


いずれする事なら、彼女でもいいかな。なんて軽い気持ちあったんだ。



でもその考えが甘かったんだ。