秘密の時間



何も聞かずだだ優しく背中をさすり続けてくれる部長の大きな手。


その手の温もりに少しずつ落ち着きを取り戻した私は、改めて部長の顔を見上げた。


優しいのに困った表情をしている部長は、いつもとはまた違う雰囲気を纏っている。



人気のない非常階段。


さすがになきじゃくる女の子を社内で慰める訳にはいかない。


人の目だってある。


ましてや部長という地位や妻帯者としての身分だって…いやっ、もしかしたら私の為にここへ来たのかも。


あんなせっば詰まった姿をみたら、きっと何かあったってみんな感づく。


噂好きなごく一部の人達のいい餌食になるのは、そう、きっと私。



そんな心配まで掛けてしまって「悪いな~」なんて思うけど、
それよりも、私を守ってくれてるんだろうな。と思う気持ちが嬉しかった。



「で、少しは話せるようになったか?」

「……」