がむしゃらに走って来た為、ここが何処だか分からない。
でも、見慣れた物に囲まれてると言うことはここは…
「おい、中村。
お前帰ったんじゃあないのか?」
ゆっくりと自分の状況と居場所を確認しようとした時、突然頭の上から声が降りてきた。
床にへたりこみ、まだ息さえ上がってる私はその声の方向へ顔を向けるのがやっとで、だからまだ自分の状況に気付いていない。
「大丈夫、か…」
「……」
私の見つめる先には、やっぱり困った顔の部長がいて、私と目線が同じになるように座り込み、頭をそっと撫でてくれる。
そんな部長を見つめていると、部長から視線が外されふと立ち上がった。
そして私も、いつの間にか部長に手を引かれ立ち上がった。
「何か、あったのか?」
そう見下ろす瞳をじぃーっと見つめ返すと、じんわりと温かいものが頬をつたうのが分かった。
分かったら、もう止まらなくて、いつの間にか私は部長の胸を借りて泣きじゃくっていた。


