彼はそう言ってくれるけど、その優しさが時々ずるくも感じられる。
私ばかりがなんだかわがままを言っているようで……。
私だって、巧さんのわがままを受け入れたいのに。
いつの間にか空いたお皿を片付け始めた巧さん。
私はそんな彼にも気付かず、ただぼんやりと彼のそんな姿を見詰めていた。
「さてと、美優、一緒に風呂でも入ろうか?」
お皿を洗い終えた巧さんが、キッチンから戻ってくる。
その表情はいたずらに私を見詰めている。
「い…一緒は、無理……」
頬を赤く染めその視線から逃れると、ふわっと、まだテーブルの前に座っている私の身体が浮いた。
「冗談だよ。先に入っておいで。
俺はテレビでも見て待ってるから」
「………」
そう言うと私の頭をがしがしと掻き回した。


