「……美優、美優」
心地いい声音に、優しく包み込まれる様なぬくもり。
大好きな彼の香りに包まれて、私はやっと重い瞼を薄く開ける。
すると彼のシャツが突然目の前に現れた。
「……ん」と小さく声を漏らすと、彼がゆっくりと私の顔を覗き込んだ。
「起こしちゃったかな?」
「………」
まだ覚めきらない頭でぼんやりと彼を見詰めると、彼が、よいしょ。と私を抱えなおす。
行き先は寝室なんだと思うけど、どうしてこんな状況になっているのかはっきりと思い出せない。
けど、
「ちゃんと掴まって。暴れると落ちちゃうよ」
なんていたずらに耳元で囁くから、私の手は自然と彼の首筋にしがみつく形になる。
寝室に着くとゆっくりベッドの上に私を下ろした彼。
彼も一緒に私の横に横たわり、私より少しだけ高い目線で私を見詰め、そっと額にかかった髪を横に流す。
「ただいま
…ごめん、遅くなって」


