食事を終え店を出るともうだいぶいい時間で、私達は駅へ向かった。
恩田さんの他愛ない話に耳を傾けながら、部長に言われたこともまんざらじゃあないな。なんて思っていた。
彼の後を歩いて数分。
駅からそう離れたお店ではなかった為、もう時期駅かと頭を上げると、辺りに駅は見当たらなかった。
ふと恩田さんを見ると、恩田さんは少し困った表情で私を見つめ返す。
「あのー…」
「もう少しだけ…いいかな?」
「えーと…」
「公園、すぐそこにあるんだ。寄ってかない?」
なんとも答えに戸惑ってるうちに、公園にたどり着いた。
そして、なんとなくふたりでベンチに腰を下ろし、また恩田さんの他愛ない話が始まった。
だけど、なんだかこの雰囲気にドキドキしてしまい上手く恩田さんの話に耳を傾けられない。
適当な相づちを何回か繰り返した後、ふと恩田さんと目が合うとふたりを包む空気は益々妖しいものになってゆく。
ど、どうしよう…?
そう思った時にはもう遅く、彼の顔が徐々に近づいて来ている。
だけど、避けたくてもどうにも動けない。
このままだと、私……


