秘密の時間



手慣れた感じに店員さんに注文をする恩田さんは、日々こういう所に来慣れてるのかサクサク事は進む。



あっという間に注文を終え、食前酒とやらでグラスのワインが目の前に並ぶ。


「美優ちゃんって、お酒 大丈夫だよね」

「はい」


グラスを片手ににっこり微笑む恩田さんは、会社で見るより断然紳士的に見えた。



それからふと、待ち合わせたティールームでの一場面を思い出した。



オフィスではあんな風に女の子を従えていない恩田さんだけど、案外彼はモテるんじゃあないかって。



そういう職場の情報に疎い私はワインのグラスに口をつけながら、ぼんやりそんな事を思った。



ワインも去ることながら食事も美味しく、出された料理をペロリと平らげた。



そんな私を見て恩田さんの表情は益々緩みだす。


「いい食べっぷりで気持ちいいね。 美優ちゃん」



頬杖つきながら食後のコーヒーを頂きつつ、そう言われてしまった。



ああ、私また、やらかしたかな?



彼の表情は揺るみっぱなしだ。