秘密の時間




次に誘われたのも、また常務を通して。



今度こそはちゃんと断ろう。そう思ったが、結局常務の頼みを邪険にする訳にもいかず、また誘いを受けてしまった。




水曜日の夜。



俺が社を出た所で城田咲季に出くわした。



「こんばんは、大橋くん」


そう声を掛けてきた城田咲季。




俺はその時やっと『今日がその約束の日』だった事に気付いた。



忘れて残業をしていたのだから、もう辺りは真っ暗。



そして、かなり時間をオーバーしていたのに、まだ待っていた城田咲季に驚いた。



「あのー、城田さんは今まで待ってたんですか?」



そう恐る恐る聞いてみると、彼女は少し困った顔をしながら俺を見た。



「…うん」