そこはちょっとこ洒落たイタリアンの店で、窓際の一番奥の席に受付の城田咲季が座っていた。
城田咲季は俺達に気が付くとふわっと微笑んだ。
「兄さんも一緒?」
「まぁ、一応俺からの紹介だからな…」
そう言いながら常務は妹の目の前に腰を下ろした。
「ああ、大橋くんは俺の隣で…」
そう俺に指示を出す常務は、やっぱり苦笑しながらだた。
どうやら常務は妹に弱いらしい。
そう見て取れるこの関係に一抹の不安を感じた。
案の定、それは的中。
けど、その日はイタリアンの店だけ。
軽くワインを飲み、普通に食事して…。
帰り際、城田兄妹を見送り、俺はホッとしながら家路についた。


