「…まぁ、食事だけなら」 「ありがとう、大橋くん」 そう言ってまんべんな笑顔を湛えた常務は、俺の手を勝手にとり握手する。 俺はされるがまま、呆然としていた。 「で、妹さんって…」 そう、なぜ俺を名指しで指名? 会ったことがある人なのだろうか? 「あっ、知らないかな? 受付の城田咲季。あれが妹なんだ…」 「…はぁ」 ああー、もしかしたら厄介な事になったかもしれない。 けど、そう思った時は何もかも遅かった。