ティールームにはもう恩田さんの姿があった。
今日は紺色のスーツを着ていた恩田さんの姿は、一見他の社員と混じって見間違いそうだったが、入り口に立っている私を見つけ向こうから声を掛けてきた。
「中村さん、こっちこっち!!」
その声の方へ目を向けると、恩田さんはいた。
だけど、大きく手を振る恩田さんの周りには数人の女の子が取り囲んでいる。
そんな場所に足を踏み入れるのはかなり躊躇われて、なかなか足が前には進まなかった。
そんな私を見兼ねたのか、恩田さんは女の子達に一言二言話しかけ、その場を去った。
そして、相変わらず入り口で立ち尽くしている私の元へ寄って来る。
「来てくれて、ありがとう。
中村さん遅いから、来てくれないのかと思ったよ」
「……」


