秘密の時間



会議室から出た時の私は、もうへとへとだった。



重役なんて滅多にお目にかからない人種の前で、色々あって、


朝からこれじゃあ、この先仕事は大丈夫?てな感じだ。



部長はと言えば、私に「先に戻っててくれ」と言い、まだ会議室の中にいる。



私は少しの間、会議室のドアを見つめていたが、出てくる気配のない部長を待つのをやめフロアに足を進めた。



その途中…、



「あれ、美優?

どうしたの。こんなところで…」


朝から葉子ちゃんに出会った。



「おはよ、葉子ちゃん…」



私は葉子ちゃんを見付けると駆け寄った。



「本当、どうしたの?」



心配そうに私を見つめる葉子ちゃんに、私は抱き付いた。



「…何かあったの?」


「うん…」



優しく抱き留めて、背中をトントンしてくれて、それだけで少し落ち着いてきた。

葉子ちゃんは私が何も言わなくても、何でも分かってしまうみたいだ



「もう、仕事はじまるから、お昼休みに話し聞かしてくれる?」



私はこくんと葉子ちゃんの台詞に頷くと、そっと彼女から離れた。


不安そうに歪む私を見て葉子ちゃんは励ますように、


「じゃあ、頑張って仕事しよ!!」



と言った。