一瞬静まり返った室内が、次の瞬間、盛大な拍手で湧く。
重役達は、口々に「おめでとう」だの私達を祝福する言葉が囁かれる。
けど、この話の流れに着いていけない私は、ぽかーんと口を開けたまま、ただおおきな拍手を耳に大橋部長の影に隠れる様に立ち尽くすしかなかった。
「中村さん?どうかしましたか??」
城田常務はそんな私を不思議そうに見つめ、声を掛けてくる。
「えーと、その―…」
何だが私だけ場違いな気がして、何も言えなくなる。
「城田常務、彼女はまだ何も知らないから…、
こんな反応なんだと思います」
「まだ、話してないのか?」
「はい…。
ちょっと色々と厄介な事情がありまして…」
「……」
口籠もった部長の言葉を待つように、城田常務は無言を貫き通す。


