秘密の時間



鋭い城田常務の視線が私を射ぬく。



その視線に耐えられなくて私は俯いた。



「ずいぶん若そうな子だけど、中村さんはいくつ?」


「えーと、21です…」



城田常務の質問にたどたどしく答えた私。



常務はうむー、と考え込むように胸の前で両腕をくんだ。




「大橋、ずいぶん若い子だな。

まぁ、大橋が選んだ子なら俺はいいと思うよ。

俺も早く大橋が幸せになる事をのぞんでるし…」




常務はそう言うと、大橋部長の肩をぽんと叩いた。



「重役達にも、ついでなら紹介しとこうか?


そうすれば、大橋も後々楽だろ」


「そ、そうですね。お願いします」




そう部長が頭を下げると、城田常務は「うん」と頷き重役の方へ身体を向けた。



「みなさん、ちょっと伝えたい事があるので、話を聞いてもらえますか?


俺の義理の弟、大橋がやっと嫁を貰う事になりました」



城田常務のひと声に、会議室全体の緩んでいた空気がピンと張り詰める。



そして、城田常務の言葉に耳を疑った。






えっ?


城田常務の義理の弟!?