「えー、と言うか、紹介したい人がいまして…」
「紹介?まぁ、大橋がここでもいいと言うなら、あっちの隅の方にでも行こうか」
城田常務はそう言うと、重役達の輪から抜け出し、私達を部屋の隅に招き入れた。
重役達は私達の存在など気にせず、べちゃくちゃとお喋りに花を咲かせている。
「で、大橋。紹介したい人って、この子?」
「はい。あの…、実は彼女の事で…」
「ふーん。大橋にもそんな人が出来たわけか。
いいんじゃあない。大橋の人生なんだし、俺はとやかく言う権利ないからね」
ふたりの会話を聞いていても、私にはちんぷんかんぷんで、
ふたりの関係もいまいち掴めない。
「あのー、彼女、中村美優といいます。
その…、結婚も前提にお付き合いさせて頂いてます」
「……そう」


