秘密の時間



部長の台詞の所為で、その晩、私はなかなか寝付かれなかった。



明日は少しでも早起きして部長の為に、早く出社しなくてはならないのに。



こう言う時に限って、妙に頭が冴えてしまう。



いたずらにベッドの中でゴロゴロ寝返りを打ちながら、部長の台詞を何度も頭の中で繰り返し響かせる。




プロポーズ、なんて……



まともな恋愛もしていない私が、本当にそれで良いのだろうか?と思うけど



でも、好きな人から言われる台詞は、どんな愛の言葉でも嬉しい。



そう思うと勝手に頬も緩む。



「いけない、いけない…」




だけど、やっぱり部長を好きになって良かった。なんて思えるから、



だからすっかり私の頭の中から、恩田さんとの出来事は忘れ去られていた。




ゴロゴロしながらいつの間にか寝てしまった私は、少し早めに起きるはずが、いつもと同じ時刻。



慌てて起きて、支度して、私は急いで会社へ向かった。