秘密の時間



「えーと、そのー…、体調が…」

「そうか、顔色悪いもんな」



私の台詞に妙に納得した部長、「早退でもするか?」なんて勧めてくる。



いやっ……。



本当は体調が悪い訳じゃあないから…。



でも、本当の事も言えない。



ただただ、部長の前で焦りまくる私。



部長の目にはそんな私は 体調ガ悪いから なんて映り込んでしまったているんだろう。



「少し待てるか?もしだったら送ってくぞ」



心配そうな表情で私の顔を覗き込むから、益々私は脂汗が滲みだす。



「だ、大丈夫です。あと少しなので仕事がんばります」



まぁ、あんまり無理はするなよ。なんて優しい言葉を掛けてくれる部長に、本当に申し訳ないと思う一方で、なんとかこの場を乗り切れた事への安堵のため息が知らない内に漏れていた。



「美優、なんかあったら遠慮なくいうんだぞ!」



私だけに聞えるぐらいの小さな声が部長から聞こえて。



その私の事を思って言ってくれた台詞に、益々胸が苦しくなった。