秘密の時間



私って、そんな寂しい女に見えたのかな?


それとも、仕事より早く男みつけて結婚しろ!
って思われてるのかな?



部長はそれからも隣で色々話してくれたが、どれも私の耳を素通りしていった。


結局、部長はオフィスではあんな事言ってたけど、本音はこっち、だったんだ。


あの一言はかなり嬉しかったのに…。



いつの間にか駅に着いて、部長はふと足を止めた。


「じゃあ、中村、気を付けてかえれよ」



またぽんぽんと私の肩を優しく叩いて。


だけど、私は俯いたまま一言も言葉を発せられなかった。




「大丈夫か?中村」


そんな私を心配して部長も足を止めたまま動けない。


視線の隅の茶色の革靴はいつまでもそこにいた。