「なっ…、なんで笑ってるんですか？」
「……」
まだ声も出さずに笑っている部長を一瞥すると、『悪い悪い』なんて笑いながらの弾んだ声が返って来る。
「嫌っ、いつも恩田に言い寄られて困ってるみたいだったから助けたけど、そんな必要無かったんだな」
「……」
ひとしきり笑いきった部長は、そう言うとぽんぽんと私の肩を二回叩いた。
「まぁさ、あれだ。
恩田は結構良い奴だし、彼氏がいないなら、奴にしとけ」
「……」
突然、ふっと真顔に戻った部長は、さらりとそんな事を言う。
で…でも…、
心の中で言い訳したって部長には伝わらないのに、悪あがきしてるみたいに、ぶつぶつとしていた。
「あっ、もしかして中村、他に好きな奴居るのか？
言ってみ！
社内の奴なら協力するよ」
「……」
