オーダーを済ませ、先に頼んだアルコールが来ると、グラスを重ねた。
カチンと弾ける音と共に、グラスに口をつけると、少し甘めなワインが喉を通りすぎて行く。
葉子ちゃんをチラリ見ても、さっきの話はしてこないので、ほっとしながらもう一口ワインを口にする。
他愛ない会社の噂話と、料理に舌鼓してるうちに、あの日の恩田さんとの出来事は私の中かな薄れて行った。
だから油断していたのだろう。
デザートがテーブルに置かれた瞬間、葉子ちゃんはまた再び話を戻した。
「で、何があったの?恩田さんと!」
やっぱり、気付かれてますよね…?
私はなんとなく覚悟を決め口を開いた。
その時私は、来た時ほど嫌な記憶は甦らず、だからすんなりとあの日の話が出来た。


